
2017年になった今、厚生労働省によって受動喫煙の規制がより厳しくなりました。
そこでアイコスやグローなどの加熱式タバコがより一層と注目されていますね。
今回は、この加熱式タバコによる害の研究結果について解説します。
また、副流煙による受動喫煙の影響があるのか調査しましたので、あわせて解説していきます。
加熱式タバコは禁煙の補助になるのか?
タバコを吸っている人であれば、誰でも一度は禁煙にチャンレンジされたことがあると思います。
自らの健康を守ることもありますが、それ以上に、喫煙者に対する逆風が強くなっている世の中なので仕方がないかもしれませんね。
今後、日本でラグビーワールドカップや、東京オリンピックが開催されるので、更に追い打ちをかけるように喫煙に対する規制が強くなっていくと思われます。
喫煙者はより厳しい状況におかれているといっても過言ではないでしょう。
この状況で、注目を浴びているのが「加熱式タバコ」です。
加熱式タバコにはアイコスやグローがありますが、これらを禁煙の道具として扱っている方もいるようです。
そもそも紙タバコで禁煙が難しい理由は何か?
なぜ、多くの人は禁煙することを決断したにも関わらずタバコを止めることができないのでしょうか?
意志が弱いからでしょうか?
もちろん、少なからずそれも理由の一つではあります。
しかし、止めたくても止めることが難しいのは、タバコに含まれる「ニコチン」に依存性があるからです。
このニコチンには、違法薬物「コカインやヘロイン」の中毒者と同じ程度の依存性があると言われています。
禁煙に成功した元喫煙者は、「なぜ、今まであんなもの吸っていたのだろう?」と口を揃えていうほど、タバコに関心が無くなります。
しかし、喫煙者にはこれ以上にない幸せを感じることができるほど依存性が強いものになります。
加熱式タバコには「ニコチン」は含まれるのか?
加熱式タバコにはニコチンは含まれているのでしょうか?
結論から申しますと、紙タバコと同じようにニコチンは含んでいます。
日本で販売されている代表的な紙タバコの銘柄には、約1.0mg前後のニコチンが含まれています。
それと比較すると、加熱式タバコで人気のアイコスのヒートスティックには、0.5mg程度のニコチンが含まれていると言われています。(同程度含まれるという見解もあるようです。)
ヒートスティックはタバコではないので、ニコチン量を表記する義務はないようですが、確実に含まれていることには間違いありません。
つまり、加熱式タバコを使用しても禁煙効果はないということです。
加熱式タバコの健康への害の研究結果について解説
加熱式タバコにはニコチンが含まれるため、タバコを止めるための補助にはならないことがわかって頂けたかと思います。
しかし、実際には禁煙効果があるという間違った認識をされていることもあり、人気に拍車をかけている状況にあります。
人気が拡大したもう一つの理由に、紙タバコよりも有害物質が少ないことが挙げられます。
iQOS公式の非臨床研究結果について解説
IQOS公式サイトで、「国際公衆衛生機関が優先する9つの有害性成分の量」が紙タバコと比べると平均で約90%も低減されていると一般公開されています。
正確には、WHO(世界保健機関)が優先する9種類の有害成分に、FDA(米国食品医療品局)がさらに追加した9種類の有害成分を含む58種類もの有害成分が平均で9割もカットされているようです。
「平均で」という言葉がやや気になり、裏があるように思いますが、紙タバコを比較すると大きく有害物質をカットできているところは素晴らしいですね。
ただし、タバコには200種類を超える有害物質が含まれており、そのうち発がん性物質は50種類以上も含まれています。
この事実から考えると、iQOSから公式に発表されているデータは、すべての有害物質をカバーしているわけではなく、そこまで安心感を得られるものではないことがわかって頂けるかと思います。
また、実際に臨床試験したデータでもありませんので、実際に人体にどう影響があるのかはわからないということになります。
iQOSの臨床研究はされていないのか?
iQOSの公式サイトでは公開されていませんが、開発メーカーのアメリカのフィリップモリスのサイト上に公開されている臨床での研究結果について解説します。
この160名のうち39名には禁煙してもらい、41名は今までのようにタバコを吸い続けてもらい、残りの22名には、iQOSと思われる「Tabaco Heating System」の使用に切り替えてもらいます。
被験者160名は、病院内で5日間生活(入院)し、血液や尿検査を受け、調査対象となる有害物質項目の濃度を調べます。
その後、それぞれ与にえられた役割を守りながら、自宅で普段と同じように生活を続けてもらいます。
30日後、60日後、90日後には、5日目と同じように調査対象となる有害物質項目について病院で検査を行います。
以下が最終的な研究結果になります。
グラフは、喫煙を続けた41名の血液や尿中の有害物質の濃度を100%としたときに、それ比較して「どれだけ濃度が減少したか?」を表現したものです。
緑色のグラフが「禁煙対象者39名」、橙色のグラフが「Tabaco Heating Systemに切り替えた22名」として表現されています。
この結果から言えることは、基本的には喫煙者と比較すると、対象項目の濃度は減少していますが、項目によってはほとんど濃度が変わらないものもあるということです。
また、5日後と90日後の濃度を比較すると、時間が経過しても思うほど減少していないこともわかります。
この研究結果で気になることが、禁煙したはずの39名よりも、「Tabaco Heating System」を使用した22名の方が対象項目の濃度が低くなっているということです。
これは誤差範囲というより、禁煙したはずの39名の対象者が禁煙していない可能性があるのではないか?と思われ、このデータの信憑性が疑われます。
研究結果を信用しても大丈夫なのか?
iQOSが紙タバコよりも有害物質の濃度が低減されていることは間違いないでしょう。
しかし、発売されてからさほど年月は経過していません。
つまり、これまで発表されている研究結果は、あくまでも表面的な濃度の調査であり、実際に人体にどれほど影響があるのかはわからないということです。
数十年後に癌やCOPD、心筋梗塞などで亡くなる人が減少すれば、加熱式タバコの有用性が証明されると思いますが、それまでは確実なことは言えないと思います。
有害物質が低減されるとはいえ、90%低減されているから安心だという過剰な認識は落とし穴がありそうで怖いところですね。
加熱式タバコには副流煙の受動喫煙による健康被害はあるのか?
これまでの話で、加熱式タバコはあくまでも「タバコ」であってニコチンを含むので禁煙の効果はないということと、有害物質は低減されているものの少なからず健康被害は起こり得ることを理解してい頂けたかと思います。
正直、タバコを吸うことによって健康被害を受けてしまっても自己責任ですから、そこに関しては誰にも制限することができないし、個人の自由だと思います。
タバコは他人の健康までも壊してしまう危険なもの
あなたがもし喫煙者であれば、覚えておいて頂きたい最も大切なことは、「タバコは他人の健康までも壊してしまう危険なもの」だということです。
私は病院で働いていますが、患者さんで本人はタバコを吸わなくても、パートナーが喫煙者で副流煙によって肺癌になってしまう方をみかけます。
パートナーに禁煙するように言われても断り続けてきた結果、その大切なパートナーの健康を奪ってしまったわけです。
その人は大変後悔しているようでしたが、こうなってしまってからでは遅いのです。
このような副流煙による受動喫煙が問題なっており、ここ最近では飲食店などでも喫煙対策が強化されているわけです。
加熱式タバコも受動喫煙対策強化へ
加熱式電子タバコは、紙タバコと比べて副流煙が少ないことから、受動喫煙の影響はないと言われています。
このことから、厚生労働省は、受動喫煙対策を強化している状況でも加熱式タバコは規制対象外として認めていました。
また、禁煙の飲食店でも、加熱式タバコであれば使用を認めているところもありますね。
しかし、最近では状況が変わり、さらに受動喫煙対策を強化するために、厚生労働省はアイコスやグローなどの加熱式電子タバコも規制の対象にする方向で考えているようです。
これは、実際に受動喫煙の影響はないのか十分な確証が得られていないからのようですね。
しかし、今後、健康への影響を調査して、影響がないと証明された場合には、規制対象から外されるようです。
厚生労働省の発表に注目しておきたいところです。